読谷村北窯 松田共司
陶芸において、土は基本。
その地の土の特徴、その技法により配合は重要です。
沖縄の土は柔らかく、弾力性や強靭性がなく、完全に平らな板を作るのは熟練の技が必要となります。大皿を投げるのはどの窯でもそうですが、簡単なことではなく、松田氏は、リムを少しずつ外側に向けて投げたり引いたりし、また投げて、これを10〜15%の縮みを計算しながら幅2.5尺になるまで繰り返します。粘土の乾燥が早すぎると、ひびが入ります。釉薬を染み込ませ、それを大皿にぶつけて叩くという抽象的な「叩き」の手法を採用しています。松田氏独自の手法で作成された色と色の間の空間が、作品を際立たせています。松田氏の絶え間ない鍛錬と、精神的な鍛錬が、作品に結実しています。
松田氏は、沖縄の生活食器のみならず、持ち得る希少な土で、かつての栄華を伝える最後の作陶家としての活動もなされ、作品は復興を目指す首里城での展示を予定されています。
松田氏は、「土が焼かれ、人が使うことで、器となりコミュニケーションがとれる」と考え、今日も土に向かわれています。
松田 共司
1954 沖縄読谷村に生まれる
1974 那覇市首里石嶺窯(大嶺實清氏)に勤務
1980 読谷山焼共同窯 大嶺工房に勤務
1990 読谷村座喜味に宮城正享、輿那原正守、松田米司らと共に
読谷山焼「北窯」を開く
共同大釜(13連房)を建築 共司工房を設立
1995 日本民藝協会賞受賞
2001 第75回 国展賞受賞・国画賞受賞 以降毎年国展に出品
2002 ロサンゼルスにて「現在日本民藝陶器新鋭作家展」に出展
2006 第58回 沖展沖展賞準受賞 以降毎年沖展に出品
2007 沖展準会員推挙
2008 国展準会員推挙
2011 読谷山焼「北窯」・倉敷民芸館賞受賞
2013 第63回 沖展準会員賞受賞・沖展会員推挙
2014 ニーューヨークにて HICKOREE’S Gallery 個展
2015 国展会員推挙
2016 第50回沖縄タイムス芸術選賞 大賞受賞
2018 世界文化遺産座喜味城ユンタンザミュージアムにて個展
2019 琉球王国文化遺産集積・再工事業「手わざ」に携わる
2020 CLAY Coffee& Gallery を開設